【劇場】パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ)★★★★☆
2020/2/12 劇場鑑賞
この映画のコピーを一言で作れと言われたら。。。
『そっ地下(ちか)!!』
(言われないから大丈夫です)
この映画のことを書くなら絶対にネタバレになります。
先に言うと面白いから観るべきです。
パンフレットは俳優のインタビュー無いし、監督のインタビューも深くないので、ネット情報で十分です。写真もそんな良くない。
ここからネタバレ開始。
パルムドールだしオスカー4冠だし、これの前に「ジョーカー」観たしで、何一つ見逃さないように全部観るぞーーーっと気合を入れて臨んだのだけど、前半かなりコミカルでトントン拍子、韓国ドラマを見る気楽さで入り込んで楽しんでしまっていた。
(前に席がないのも良かった。車椅子席の隣。下から見上げる感じの席だったからよけい半地下追体験。これから映画観るときはここを予約しよう)
脚本賞獲っただけあって、やっぱりストーリーがすごい。面白い。
自分は思いつかない。キレイにまとまっていて、ストーリーを頭から紙に書き出したい衝動に駆られる。書いてみようかな。
パルプフィクションも紙に書いたな。
期待していた韓国映画特有のジトジトの汚さ残酷さがギリギリ綺麗。
絶妙なアカデミー賞取れる汚さ。
半地下息子のチェ・ウシクこんなにうまいとは。
この子の軽やかさ、コミカルさがこの映画の悲惨さをだいぶ救ってる。
お屋敷主人イ・ソンギュン、嫌なやつ似合う。
悪意ない無神経な強者。
お屋敷の奥さま、安定の韓国整形女優顔。
乳首を時計回りに撫でるようにという、意外なこだわりがある奥さま。
この夫婦のエロシーンもギリギリ綺麗でどぎつくない。乳首を撫でるのはえげつなくない。
パク・チャヌク監督あたりならグチャグチャ音立てそうだ(あくまで想像)。
それはカンヌは獲れるけどオスカーは獲れない(あくまで想像)。
主人よりかなり年下の若い妻設定らしいが、いかんせん韓国整形顔のため若奥様に見えない。
ソン・ガンホ頑張って臭そうにしてた。確かに加齢臭ではないけど、何か独特なにおいがしそうな振る舞い風貌。この人の顔面と掠れ声はとんでもなく説得力がある。
声がセクシーだから危うくセクシーになりそうなところをおっさんの赤ら顔力でなんとか凌いでいた。
温厚な半地下父がキレる原因となった「臭い」。
臭いって悲しい。
滲み出てくるし自分では気づかない。
どんなに取り繕っても体に染みついた臭いは消せない。悲しい。
お屋敷のほうの地下オヤジ、半地下家族も妻(元家政婦)も誰も気にしなかったのに、お屋敷主人だけが超非常時にも拘らず鼻をつままないと近付けない吐きそうなほど我慢できない臭い、観客は初めて「そういや超臭いよな」と気づく。
貧民にはわからない富者には我慢できない臭い。
目に見えない悲しい階級制度…←なんか良い言い方ないかココ。
新旧家政婦の2人強すぎ。結局この2人が一番好き。
前の家政婦なんかすごい好き。
お屋敷地下のオヤジ、キモチワルすぎ。
もうちょっとヌメヌメしてたらアカデミーとれないほどの気持ち悪さ。
こいつが半地下息子を襲撃するシーン、首の紐がビーーーンってなるあたりから岩を抱え落とすまでのところ、
もっと残忍でべっちゃべちゃにできたろうけど、ギリギリのラインで納めていた。
そこにポン・ジュノのセンスを感じたのだった。
しかし、このお屋敷地下のキモオヤジ、オスカー受賞の写真見たら普通の俳優だった!びっくり。
そしてなんだかんだ、この映画にでてくる夫婦三組とも夫婦仲が良く、地下キモオヤジと旧家政婦夫婦が一番ロマンティックで愛し合っているのだ!!!
わからない点が2点。
1点目、半地下オヤジがサウナで奥様の手を握ったのはどういう意図?
息子が家庭教師初日にカマして娘の心を掴んだのに倣って?
2点目、半地下オヤジ(=運転手)がお屋敷主人に「奥様を愛してるんですね」的なことを言うといつも微妙な反応なのはナゼ?
息子の誕生日パーティーで二人してインディアンの格好して隠れてたとき、「奥様を愛しているのだから」と言った時と、ちょっと顔色変えて「これは仕事だからちゃんとやれよ」的なことを釘を刺したし。
運転手の分際でご主人様の心情にまで踏み込んでくるんじゃないよってことかな?
ストーリーに都合良すぎな点が所々あるにはあったが面白かった。
終わり方完璧。いつまでもこの映画の世界にいられる。ずっと考えていられる。
わからない点の確認も含めてまた観たい。
たぶん何回も観ると思う。
んが!!!!
痺れるカットはなかったのよね〜
羅生門は初っ端から痺れまくりだから。
ジョーカーは早く終わってほしかったけどパラサイトはずっと観ていたかった。
半地下と地下と屋敷の家族の攻防ずっと見てたかった。
両方観た後もずっと考えてしまう、見応えある映画。
すごく良い時間、魂が喜んだ。