羅生門(黒澤明)★★★★★!!
2020/1/21 鑑賞
いやあ・・・しびれた。。。
羅生門、観るのは三回目だけどこんなにすごい映画だったとは!
一回目は大学の授業で(日本文学科だったので)、二回目は10年以上前の東京国際映画祭で(ジョン・ボイドがゲストで来た)、そして昨日アマプラで三回目の鑑賞。
映像、ストーリー、音楽、俳優の演技、全部が私の好みで最高得点で自分の中の映画鑑賞パートがしびれながら喜んでいる。
この映画のすべてが好きです、という自己紹介になる映画。
三度目にしてこの素晴らしさに気づくとは、なんと年を取ったんだろう(いや、いいことだ!)。
映像の1カット1カット(というの?)がすべて絵画のようでむっちゃくちゃカッコいい!構図がすごい!言葉で表せないよ!
観てるだけで自分の視覚部門が喜んでいるんだ!
どのシーンも全部好きだけど、特にここ!
検非違使(現代の警察と裁判所を兼ねたようなところ)に山の中で起きた事件について証言している「藪の中」の例のシーン、後ろにいる杣(そま)売りと旅法師。
なんだよこの構図!最高かよ!
たまにこの二人に焦点が合うような合わないような、表情が読み取れる時があって、楽しい、面白い。
あと強く印象に残っているのは(全部残ってるんだけど!)
女が証言し始めて藪の中のシーンから戻ってきたら、それまで美しくしとしと泣いていた女が髪も着物も乱れてやさぐれちゃってるシーン。いいわあ。
殺された武士の口寄せを行う巫女が、祈祷(?)により強風吹きすさぶ中、全然瞬きしない不気味なシーン。黒澤明にまばたきするなと言われたんだろうなと。
それで声は武士の声が被ってて、その声の粗さもあいまって余計に怖い。
出ている俳優全部すごいよ!
三船敏郎の若いエネルギーが爆発していて演技面白い!
京マチ子、ふくふくとした日本美女で芯がしっかりしてて気が強くて、終盤キレて狂ったように笑ってて、多襄丸も武士の旦那も引いてたよ!
狐が憑いたみたいな演技だった。すっごく性悪の女狐ね。
音楽も終始不穏な空気を漂わせていて白黒の映像にあっててカッコいいの!
白黒映像は、自由に自分の中で色付けできるから、羅生門にしてもかすれきった緋色にしてもいいし、海の底みたいな沈んだ藍色にしてもいい。
自分の好きな世界が作られるという余白を残してくれる。
ストーリーはもちろん藪の中だから面白い。
なにより絶対映画で寝る私が寝なかった(88分という短さもあるけど)。
これは世界のクロサワになるわ。
タランティーノがオマージュ捧げまくりたくなるわ。
死ぬまでにあと三回は観たい。